メインコンテンツに移動

白癬の治療


白癬の治療1)

皮膚真菌症の治療については、Clinical question(CQ)を設定し、それぞれの質問に対してエビデンスレベルと推奨度を決定しました()。

表:Clinical questionと推奨度
CQ No. Clinical question 推奨度
CQ1 足白癬に抗真菌薬による外用療法は有用か A
CQ2 足白癬に抗真菌薬による内服療法は有用か A
CQ3 爪白癬にエフィナコナゾール爪外用液は有用か B
CQ4 爪白癬にルリコナゾール爪外用液は有用か B
CQ5 爪白癬にテルビナフィンの内服は有用か A
CQ6 爪白癬にイトラコナゾールの内服は有用か A
CQ7 爪白癬にホスラブコナゾールの内服は有用か A
CQ8 体部/股部白癬に抗真菌薬による外用療法は有用か A
CQ9 体部/股部白癬に抗真菌薬による内服療法は有用か A
CQ10 頭部白癬に抗真菌薬による内服療法は有用か A
CQ11 Trichophyton tonsurans 感染症に抗真菌薬による内服療法は有用か A
CQ12 Trichophyton tonsurans 感染症に抗真菌薬による外用療法は有用か B

A:行うよう強く勧めるB:行うよう勧める
C1:行ってもよいC2:行わないようがよい
D:行うべきではない

日本皮膚科学会:皮膚真菌症診療ガイドライン2019. p2640, 2019 表1より一部抜粋 ©日本皮膚科学会

  1. 望月隆ほか:日皮会誌. 2019;129(13):2639-2640

手・足白癬の治療2)

手・足白癬の治療は、外用抗真菌薬を1日1回塗布します。
角化型や接触皮膚炎を合併した難治例では、内服抗真菌薬も選択肢になります。
爪白癬合併例では、内服抗真菌薬が第一選択とされています。

外用抗真菌薬は、イミダゾール系薬剤が最も種類が多く、その他にはモルホリン系、アリルアミン系、ベンジルアミン系、チオカルバミン酸の系統があります。
このうち、イミダゾール系、モルホリン系、アリルアミン系はカンジダ症や癜風にも保険適用があります。

外用抗真菌薬の塗布期間は、病巣の角層の厚さによって異なります。
指(趾)間型では2ヵ月以上、小水疱型(汗疱型)では3ヵ月以上、角化型では6ヵ月以上が目安です。

手・足白癬患者に対しては生活指導として、以下の内容を指導します。
・病巣や好発部位が蒸れないようにする
・過角化をもたらす機械的刺激(健康サンダル、足用の軽石の使用)を避ける

  1. 望月隆ほか:日皮会誌. 2019;129(13):2642

爪白癬の治療3)

爪白癬の治療には、内服抗真菌薬または外用抗真菌薬が使用されます。
外用抗真菌薬は内服抗真菌薬に比べて完全治癒率が低いとされており、抗真菌薬の内服ができない患者、抗真菌薬の内服を希望しない患者に使用されます。
難治例では、外用薬の効果を高めるために尿素軟膏密封療法による爪甲除去、外科的抜爪術を行うことがあります。

爪白癬に対する抗真菌薬には、以下の薬剤があります。
内服療法:テルビナフィン、イトラコナゾール、ホスラブコナゾール
外用療法:エフィナコナゾール、ルリコナゾール

  1. 望月隆ほか:日皮会誌. 2019;129(13):2642-2643

体部・股部白癬の治療4)

体部・股部白癬の治療には、主に外用抗真菌薬が使用されますが、外用薬の塗布が十分に行えない場合や再発を繰り返す場合には内服抗真菌薬を使用します。

Trichophyton tonsurans 感染症による体部白癬に対しても外用抗真菌薬が有用です。ただし、生毛内感染が認められる場合は、内服抗真菌薬との併用が推奨されています。
なお、T. tonsurans のような好獣性菌の感染症では、治療開始後に炎症が強まることがあるため、事前に患者さんへの説明が重要です。

  1. 望月隆ほか:日皮会誌. 2019;129(13):2643

頭部白癬の治療5)

頭部白癬の治療は、抗真菌薬のテルビナフィンまたはイトラコナゾールの内服が原則です。
小児においては、テルビナフィンの安全性が確認されていないこと、イトラコナゾールは有益性がある場合に限り使用可能であることに留意する必要があります。

  1. 望月隆ほか:日皮会誌. 2019;129(13):2644

お問い合わせ

お問い合わせの内容ごとに
専用の窓口を設けております。

各種お問い合わせ

Dermado デルマド 皮膚科学領域のお役立ち会員サイト

医学賞 マルホ研究賞 | Master of Dermatology(Maruho)

マルホLink

Web会員サービス

ページトップへ