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表在性皮膚感染症の治療


    毛包炎(毛嚢炎)1, 2)

    毛包炎の治療

    毛包炎が少数である場合には、患部を清潔に保ちます。
    毛包炎が多発する場合や尋常性毛瘡の場合には、抗菌薬の外用や内服を行います。

    • 表在性毛包炎: 多くは毛包炎を放置、または膿疱をつぶすのみで治癒します。
      オゼノキサシンなどの抗菌薬含有軟膏やクリームの外用が用いられます。

    原因菌別の治療

    黄色ブドウ球菌:以下の抗菌薬を使用します。毛包炎の原因菌のほとんどを占めます。

    • ペニシリン系(内服)
    • セフェム系(内服)

    抗菌薬を3日投与しても症状が軽快しない場合にはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の可能性を考慮し、他剤への変更を検討する必要があります。

    • ホスホマイシン(内服)
    • テトラサイクリン系(内服)
    • マクロライド系(内服)
    • ニューキノロン系(内服)

    レンサ球菌:以下の抗菌薬を使用します。

    • ペニシリン系:アモキシシリン(内服)、アンピシリン(内服)
    • ペネム系:ファロペネム(内服)
    1. 清水宏:あたらしい皮膚科学 第3版. 中山書店, p518, 2018
    2. 落合慈之 監修, 五十嵐敦之 編集:新版 皮膚科疾患ビジュアルブック. 学研メディカル秀潤社, pp312-313, 2012

    伝染性膿痂疹 3, 4, 5)

    水疱性膿痂疹の治療

    患部を清潔にし、乾燥した状態を保つだけでなく、痂皮が形成されるまで病変の拡散を防ぐことに努めます。
    抗菌薬含有軟膏の外用、セフェム系抗菌薬内服を行います。

    • 抗菌薬含有軟膏:オゼノキサシン、フシジン酸ナトリウム
    • セフェム系抗菌薬:セファレキシン

    痂皮性膿痂疹の治療

    抗菌薬の外用や内服を行います。
    外用薬は、油脂性軟膏が基本です。
    滲出液を吸収して創面を乾燥させる作用をもつ水溶性基剤であるマクロゴールを用いる方法もあります。

    耐性菌出現に関する注意事項:

    • 使用頻度が低いため耐性菌の出現が少ないと考えられている外用薬:フシジン酸ナトリウム軟膏やテトラサイクリン軟膏(黄色ブドウ球菌に対して)
    • 使用頻度が高くなることにより、耐性菌出現に注意が必要な外用薬:ナジフロキサシン軟膏・クリーム(耐性菌は出現しにくいとされています

    原因菌がレンサ球菌である場合には、腎炎の併発予防の観点から10日間程度の感受性のある抗菌薬内服を行います。
    また、ブドウ球菌の混合感染が多いため、βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン薬(アモキシリン/クラブラン酸カリウム)が推奨されます。

    本疾患は小児に好発するため、使用する抗菌薬には注意する必要があります。
    MRSAの場合、市中MRSAがほとんどです。
    MRSAに対して感受性を有する抗菌薬の中でも、下記の2つは特に注意が必要です。

    • ミノサイクリン: 8歳未満の小児では歯牙の着色、エナメル質形成不全、一過性の骨発育不全を起こすことがあるため、他の薬剤を使用し、無効であった場合にのみ使用を考慮します。
    • ニューキノロン系: 15歳未満では、動物実験で関節異常がみられたことがあるため、原則使用しません。
    1. 清水宏:あたらしい皮膚科学 第3版. 中山書店, p515, 2018
    2. 落合慈之 監修, 五十嵐敦之 編集:新版 皮膚科疾患ビジュアルブック. 学研メディカル秀潤社, p316, 2012
    3. 宮地良樹, 渡辺大輔, 常深祐一郎 編集:エビデンスに基づく Q&Aでわかる皮膚感染症治療. 中山書店, pp29-30, 2020

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