表在性皮膚感染症の検査・診断
毛包炎(毛嚢炎)1)
毛包炎は、視診・問診により診断します。
症状の程度によっては、膿や滲出液などの細菌塗抹標本検査、細菌培養、薬剤感受性検査を行います。
塗抹鏡検にて菌の形状を観察し、細胞培養結果が出る数日までの間の薬剤選択の参考とします。
- 落合慈之 監修, 五十嵐敦之 編集:新版 皮膚科疾患ビジュアルブック. 学研メディカル秀潤社, p312, 2012
伝染性膿痂疹 2, 3)
伝染性膿痂疹は、視診・問診による診断が基本です。
鑑別診断のため、膿や滲出液などの細菌塗抹標本検査、細菌培養、薬剤感受性検査などを行います。
塗抹鏡検にて菌の形状を観察し、細胞培養結果が出る数日までの間の薬剤選択の参考とします。
必要に応じて血液検査を行います。白血球増多、CRP上昇がみられることがあります。
レンサ球菌感染例ではASO、ASK※が上昇するため診断の一助となります。
レンサ球菌の感染が確認された場合、腎炎を合併することがあるため発症4週後までに尿検査を行います。
ASK(anti-streptokinase antibody):抗ストレプトキナーゼ抗体
水疱性膿痂疹の鑑別診断
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虫刺症:炎症が強くみられます。形成される水疱には緊満性があり、内容物は無菌です。
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ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS):眼囲、口囲に特徴的な病変がみられます。また、発熱などの全身症状を呈します。
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落葉状天疱瘡:成人で発症し、Nikolsky(ニコルスキー)現象陽性、血清抗Dsg1抗体価の軽度上昇がみられます。
痂皮性膿痂疹の鑑別診断
特にアトピー性皮膚炎合併例では、Kaposi(カポジ)水痘様発疹症との鑑別が困難です。
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Kaposi(カポジ)水痘様発疹症:ヘルペス性湿疹ともいわれます。アトピー性皮膚炎にHSV(多くはHSV-1)が接触感染して発症します。発熱や所属リンパ節腫脹(有痛性)、咽頭痛などの類似の症状・所見がみられます。
- 清水宏:あたらしい皮膚科学 第3版. 中山書店, pp488-489, 514-515, 2018
- 落合慈之 監修, 五十嵐敦之 編集:新版 皮膚科疾患ビジュアルブック. 学研メディカル秀潤社, pp315, 349, 2012