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maruho square 地域包括ケア時代の薬局経営:薬局経営の将来


    • HYUGA PRIMARY CARE株式会社(きらり薬局) 代表取締役社長 薬剤師 黒木 哲史 先生

    はじめに

    今回で最終回になりますが、最後の章は薬局経営の将来についてお話しします。薬局を取り巻く環境はかつてないスピードで変化しています。国の財政悪化による医療費全体の抑制、敷地内薬局、在宅対応や新型コロナウイルス感染症の拡大により、オンライン診療、服薬指導の拡大などがあります。私の感覚ですが、デジタル化はコロナ前と比べて時代を5年は前倒しにしました。
    初回の時にお話ししましたが、私が1店舗目を開業した15年前とは業界全体が大きく様変わりしているのを強く感じています。2008年からの15年で、きらり薬局は時代の変化と医療・介護の全体的な流れ(地域包括ケアシステムの推進)に沿って順調に発展し続けてきました。2021年12月には東証マザーズ(現グロース)市場にも上場を果たしました。株価も2022年11月24日現在でPER(Price Earnings Ratio:株価収益率)50倍近くと他の会社と比べても非常に高い評価を機関投資家も含めた株主様からいただいております。
    PERとは、1株当たり純利益の何倍までで買われているか、すなわち1株当たりの純利益の何倍までの値段がつけられているかを見る投資尺度です。将来の成長性の指標としてよく使われます。私たちが門前薬局とは違い、今後も伸び続ける在宅介護市場でシェアを伸ばし、成果を出しているHYUGA PRIMARY CARE(きらり薬局)の将来を株主様から評価していただいているのがうかがえます。

    薬局業界の変化

    これまでの薬局業界を振り返ると、次のような順で変化をしてきました。

    町の薬店(主にOTC薬)

    医薬分業スタート(門前薬局)

    面処方調剤、24時間365日対応の在宅訪問調剤、ドラッグストアの台頭

    0402通知(『調剤業務のあり方について』2019年4月2日厚生労働省通知)、オンライン服薬指導、電子処方箋、リフィル処方

    私たちは②と③の間の時代に薬局を創業しました。
    現在は③と④の間に入りつつあります。実はこの変化は予測できたことです。その指針として平成27年(2015年)に厚生労働省から発表された『患者のための薬局ビジョン』に描かれています(図1、図2)。それに加え、国全体の課題として年金・医療・介護の社会保障費の財政圧迫、スマートフォンやインターネットの普及など医療以外の環境変化も進んできました。

    図1. 患者のための薬局ビジョン
    記事/インライン画像
    図1. 患者のための薬局ビジョン
    図2. かかりつけ薬剤師としての役割の発揮に向けて
    記事/インライン画像
    図2. かかりつけ薬剤師としての役割の発揮に向けて

    経営とは何か

    ここで、きらり薬局が創業からの15年間を振り返り経営とは何だったのか?何が上手くいって、何が上手くいかなかったのか?自問自答してみて改めて思ったことは「経営とは時代の流れを読み、誰よりも早く実行する。そしてトライ&エラーを繰り返し続け、結果を出していくこと」。この繰り返しの実行過程や売上、利益の数字結果が経営そのものです。それには前回の号でお話ししたように実行するためには、人に動いてもらわなければなりません。時にはシステムに数百万円、数千万円の投資をしたり、時には患者さんを含めた社外の人にサービス内容を説明したりとさまざまな有言実行をする必要があります。
    会社でも常々社員には伝えていますが、ここでポイントになるのが、「スピードが命」です。もっと言うと「スピード」には種類が2つあります。「意思決定するスピード」と意思決定したことを「実行するスピード」です。
    1つ目の「意思決定するスピード」は会社では経営層が行い、店舗での意思決定は「管理薬剤師」もしくは「店長」が行います。一番まずいのが意思決定をしないことです。決定しないリーダーが一番「悪」です。自分の意志決定を間違うことを恐れて決定を先延ばしにする。結果、過去からの踏襲で物事を進めます。これでは「変化」に乗り遅れてしまいます。組織のリーダーはスピードのある「意思決定」が必要です。
    2つ目は「実行するスピード」です。いくらリーダーが正しい「意思決定」をしたとしても、実行されなければ何も意味をなしません。目的、目標に向かってスピード感をもって実行する。実行して状況が悪化したり、成果が出なければ、もう一度やり方を変えて実行する。この2つ目の「実行するスピード」を加速し、やりきらせる力が重要です。当たり前ですが、やりきらせるにはリーダーの「想い」が必要不可欠になります。部下や外部の人材を巻き込み、薬局がどうありたいか?自分自身がどうありたいか?を周囲に理解してもらいながら進んでいく、途中で離脱者が出たり、さまざまな角度から実行への障害などが出てきます。極端ですが「死ぬこと以外はかすり傷」と割り切り、実行を前に進めなければできません。きらり薬局も周囲からは順風満帆に見えるかもしれませんが、さまざまな障害がありましたし、今も現在進行形で障害が勃発する日々は続いています。ただ、それらの障害は会社と自身の両方が成長するためにHYUGA PRIMARY CARE(きらり薬局)に必要なことだったので起きたと考えています。きらり薬局の辿ってきた詳しい道筋はHYUGA PRIMARY CAREの公式ホームページにて伝えています。興味がありましたら、ぜひご覧ください。(1章から16章まで掲載しています。https://www.hyuga-primary.care/ja/story.html
    「スピード」の話にもどりますと、この2つの「スピード」を継続することで、自社薬局のサービスが社会変化より半歩先に立つことができ、それが経営そのものだと私は考えています。

    さいごに

    8回にわたりまして私の連載にお付き合いいただきまして本当にありがとうございます。私は薬局の未来は経営者や職員の方の力で明るく変えることができると信じています。「地域包括ケア時代の薬局経営」はとても明るい。
    私自身も来年で45歳になります。若いつもりが完全に中堅の世代に入ってきました。29歳からの15年は一瞬で過ぎ去りました。これから更に15年過ぎれば60歳です。これからの15年を私自身も人生の総仕上げとして一日一日を真剣に生きることで、若い世代の薬局経営者や職員の方に明るい未来の日本国、薬業界を創りたいと考えています。

    きらり薬局では2か月に1回定期的に調剤薬局の薬局経営について、内容をもっと深掘りした無料参加も可能なWEBセミナーを開催しております。詳しくは「きらりプライム」ホームページの「セミナー/イベント」をご確認ください。

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