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maruho square 地域包括ケア時代の薬局経営:調剤報酬改定と在宅訪問薬局


  • HYUGA PRIMARY CARE株式会社(きらり薬局) 代表取締役社長 薬剤師 黒木 哲史 先生

はじめに

今回は令和4年(2022年)4月調剤報酬改定と在宅訪問薬局についてお伝えします。今回の調剤報酬改定は調剤薬局の対物から対人業務への転換の大きな節目となる改定になりました。主な項目を列挙しますとリフィル処方の導入、オンライン服薬指導のほぼ全面解禁、調剤料が廃止になり調剤管理料と薬剤調製料に変化しました。これは薬を渡すだけでなくその後のフォローまでがセットであるという厚生労働省の強いメッセージが伝わってきます。

地域支援体制加算

もう1つの目玉は地域支援体制加算が4つに分類されたことです。
地域支援体制加算は厚生労働省が薬局にこのようにあってほしいというもので、私自身も「近い未来の薬局像」を投影していると注目してみてきましたが、特に今回の改定で新設された地域支援体制加算2、3、4で提示された9項目というのはこれからの薬局のスタンダードを示した診療報酬改定になってくると考えています(表1)。

表1.地域支援体制加算の概要順
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表1.地域支援体制加算の概要順

表1の中で地域支援体制加算2の算定に必要な9項目の内容を紐解くと訪問服薬指導(在宅患者訪問薬剤管理指導、居宅療養管理指導)とも密接に関わっていることが容易に想像できます(表2)。(表2:★印がついているものは訪問服薬指導を行っていると有利になる項目です。)特に、②麻薬を調剤した実績10回以上、⑦単一建物診療患者が1人の場合の在宅薬剤管理の実績24回以上、⑨薬剤師研修認定制度の研修を修了した保険薬剤師が多職種連携会議に5回以上出席、に関しては訪問服薬指導を行うに際しておのずと必要になりますので、要件をクリアする上ではかなり有利になります。それ以外のものに関しても要件クリアにプラスになるものも多いと推察されます。

表2.地域支援体制加算2~4算定でのクリアしなければならない項目一覧
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表2.地域支援体制加算2~4算定でのクリアしなければならない項目一覧

在宅訪問関連の服薬管理料

在宅訪問薬局に関してはもう1つ追い風になる項目がでてきました(表3)。
訪問調剤において手間がかかる在宅中心静脈栄養法加算や在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算など幾つかの点数が新設されました(医療保険でなく介護保険での居宅療養管理指導で算定できるかは確認が必要)。こちらも厚生労働省の訪問服薬指導推進のメッセージだと読み取れます。
これらの加算は軽度の在宅患者さんでは算定しにくいもので重度の患者さんに対応することで算定しやすくなるものです。個人的にはやっと点数がついたという感覚ですが、とても手間のかかる業務でIVH(intravenous hyperalimentation)などを敬遠される薬局も多い中で点数がついたことは前向きにとらえています。

表3. 在宅訪問関連のおもな服薬管理指導料(赤文字部分が点数の変わった項目)
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表3. 在宅訪問関連のおもな服薬管理指導料(赤文字部分が点数の変わった項目)

さいごに

令和4年在宅訪問薬局関連の診療報酬改定をまとめますと、地域支援体制加算2,3,4、重度訪問服薬指導対応の点数も新設されて「在宅対応」は必須になるのは明らかです。ただし、どの薬局経営者もそれは分かっているのだが実際行うとなると、、、というのが本音だと思います。
それなりの点数がついたとしても実際に実行するには24時間365日対応も迫られますし、在宅医療介護との連携のための知識習得も必須になります。きらり薬局でもそれなりに苦労して14年かけ1店舗200名を超える患者さんを受け持つまで成長してきました。何がコツかといつも聞かれるのですが、実際には特効薬はありません。地味に一つひとつに取組むしかありません。
強いて挙げるとすれば、その原点は経営者の「覚悟」だと思います。経営者が「覚悟」を持った上で職員の方(薬剤師、事務)に何度も何度も在宅訪問に取組む意味を説明して納得させ実行する。時には自分も先頭に立ち指示する場面もでてくると思います。
これは「かかりつけ薬剤師推進」なども同じことがいえます。
医薬分業も今がちょうど分岐点で調剤薬局の在り方も大きく変わりつつあります。この令和4年の報酬改定の内容を見て読み解くことと同時に厚生労働省が2015年に公表した『「患者のための薬局ビジョン」~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ』(図1)を職員全体と共有することも重要ではないかと思います。

図1.患者のための薬局ビジョン~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~
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図1.患者のための薬局ビジョン~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~

厚生労働省のホームページ
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/gaiyou_1.pdf

この『患者のための薬局ビジョン』は厚生労働省の2025年に向けて地域包括ケアシステムでの薬局の役割について書かれていますので、保険調剤薬局が今何をすべきか? 職員の方とも共有して訪問調剤やかかりつけ薬剤師を推進するのに納得感もありお勧めです。

きらり薬局では2か月1回定期的に調剤薬局の薬局経営について内容をもっと深掘りした無料参加も可能なWEBセミナーを開催しております。詳しくは「きらりプライム」ホームページの「セミナー/イベント」をご確認ください。

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