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maruho square チーム医療と薬剤師:地域包括ケアシステムにおいて指名される 薬局薬剤師をめざす~かかりつけから在宅まで~


厚生労働省は、国民の4人に1人が後期高齢者となり世界に類を見ない超高齢化社会に突入する2025年を見据え、これまでに医療介護の一体改革、地域包括ケアシステムの構築・進展などの施策を講じてきた。その一環として保険薬局に対して「患者のための薬局ビジョン」をスタートさせ、健康サポート、高度薬学管理、24時間対応・在宅対応、医療機関などとの連携という機能を推進してきた。特に、薬局薬剤師個人に対し、地域医療に貢献する人材か否かの評価も開始している。株式会社ファーマダイワ(本社:熊本市南区、熊本県下に30店舗展開)小幡調剤薬局の中 雄太先生は、地域の患者さんや多職種から選ばれる薬局薬剤師をめざし取り組んでいるという。そこで、その取り組みと今後の展望を伺った。

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株式会社ファーマダイワ 小幡調剤薬局 研修部主任 薬剤師 中 雄太 先生
  • 株式会社ファーマダイワ 小幡調剤薬局 研修部主任 薬剤師 中 雄太 先生

国として薬剤師個人の評価がスタート地域で選ばれる薬局薬剤師をめざす

薬局薬剤師を取り巻く状況が刻々と変わる中、これまでどのような活動をされてこられましたか。
【中】私が配属されている薬局は、地域の商店街の中に立地し、また、内科、皮膚科、眼科、整形外科の複数の医療機関が存在しています。このような環境の下、『今、薬局薬剤師に国や患者さんが何を求めているのか』を考え、新人の頃から薬局業務に取り組んできました。
薬局薬剤師も地域医療のチームの一員として積極的に参画したいと思い、まず、近隣の糖尿病専門医療機関に対して服薬情報提供書の提出(以下、情報提供)を開始しました。例えば、糖尿病領域における足病変は、患者QOLや健康寿命を低下させ、介護度を進める要因となります。したがって、薬局薬剤師が投薬時に、患者さんの足爪の変形や胼胝の有無を確認し、医療機関へ情報提供することで、足病変の早期発見・予防や患者さんのセルフケアの向上に繋がると考え、服薬指導の際に積極的に患者さんの足の状態を確認し、医療機関へ情報提供してきました。また、皮膚科専門医の介入が必要と考えられる症例があり、糖尿病専門医に情報提供した結果、糖尿病専門医から皮膚科専門医に紹介された事例を経験しました。その患者さんは、普段からかかりつけ薬剤師制度を利用されていたため、糖尿病専門医と皮膚科専門医の処方薬情報を一元的に薬局で管理していました。そのため、得られた情報を情報提供することで、専門医同士を繋ぐ役割を担うことができました。
これらの経験から、糖尿病のような全身合併症を伴う患者さんに限らず、複数の医療機関にかかる患者さんの情報を薬局が一元管理し、他医療機関と連携を図ることは、円滑でシームレスな医療サービスを患者さんに提供する上で極めて有用であると考えています。
また、在宅医療にも取り組んでいます。在宅医療を受けている患者さんは通院困難で訪問診療を受けています。もし何らかの皮膚症状があったとしても、外来受診は困難です。私が担当している在宅患者さんにおいても、同様な場面を経験しました。その際、皮膚状態について(患者さんの同意を得て皮膚状態を撮影)在宅医と協議し、普段から外来で連携している皮膚科専門医の意見をいただくことで適切な薬剤選択に繋げられた症例を経験しました。
このような経験から、在宅医療においても薬局薬剤師が、在宅医師、専門医および患者さんを繋げる役割を担うことができると実感し、連携を意識して活動しています。
その他の活動として、地域包括支援センターの職員の方々と共に地域イベント(まちかどカフェ、まちなか保健室など)の実施やローカルラジオに出演することで、かかりつけ薬剤師の役割や薬局を活用するメリットについて発信し、薬局薬剤師の仕事を地域住民に伝える活動にも関わってきました。

小幡調剤薬局(熊本県熊本市中央区子飼本町1番21号)

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小幡調剤薬局(熊本県熊本市中央区子飼本町1番21号)
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小幡調剤薬局(熊本県熊本市中央区子飼本町1番21号)
めざすところは「地域の医療・介護スタッフや住民から選ばれる薬局薬剤師」ですか。
【中】かかりつけ機能のKPI(key performance indicator :重要業績評価指標)()は、薬剤師個人を評価する指標と考えており、地域医療に貢献できる知識、技術などを評価する指標の側面が強いのではないかと考えています。地域支援体制加算の算定要件にもあるように、地域医療を支援できる薬局・薬局薬剤師が求められています。したがって、今後も連携を常に意識し、地域の医療・介護スタッフや住民に選ばれる薬局薬剤師になりたいと思っています。
表. KPIの評価項目
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表. KPIの評価項目

親身な気持ちで外来業務に取り組めば、自ずと活躍の場が広がっていく

では、選ばれる薬局薬剤師になるためにはどこから手をつければよいのでしょうか。
【中】薬局薬剤師がチーム医療の一員として活躍できる場として外来業務をはじめ、在宅業務、地域活動など()がありますが、踏み出す一歩としては、まずは日頃の外来業務を見直すことだと思っています。選ばれる薬局薬剤師になるために、私が大切にしてきたことは、『ずっと寄り添う』という気持ちです。これは私が大学5年生の薬局実習の際に、指導薬剤師の方に教えていただいたことです。
先ほどの事例を例にあげると、糖尿病の患者さんで足病変が生じた際に、『これ以上状態が悪くなり、歩行困難とならないよう支援したい』という気持ちがあれば、お薬の説明だけでは終わらないはずです。投薬後に介入する方法が無いか、医師や多職種に電話や情報提供することで、外来でもチームの一員として支援するように努めるはずです。薬局薬剤師による介入により、患者さんのQOLが改善すれば、患者さんやご家族からの信頼に繋がり、かかりつけ薬剤師として指名される可能性もあり、実際にかかりつけ薬剤師として指名された事例も多数あります。また、投薬後に必ず「何かあれば私に電話を下さい」と言葉を添えるようにしています。意外と電話があるため、薬局薬剤師による投薬後の電話フォローの大切さを感じています。
図. 薬局薬剤師がチーム医療の一員として活躍できる場所の例
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図. 薬局薬剤師がチーム医療の一員として活躍できる場所の例
外来業務に力を入れているだけでは、地域に出るきっかけがないのでは。
【中】処方意図を患者さんから聞き取ることは困難な場合もあります。その場合は外来業務でも、ご家族や医師、看護師、ケアマネージャーなどと連絡を取り、対応するようにしています。そんな電話の対応だけでも、地域連携のきっかけとなります。例えば、介入困難な場合にケアマネージャーへの1本の電話をきっかけに、ケアプランを提供していただき、外来での服薬指導に活かすことができました。また、薬局からケアマネージャーや地域包括支援センターのスタッフに情報提供することで、連携を深めた事例も経験しました。このように、外来業務を通して、多職種との交流が始まり、地域に出るきっかけになる例もあり、日頃から一歩踏み込んだ外来業務を行うように意識しています。

地域の医療・介護チームと有機的に繋がり患者さんや家族を支える、新たな薬局薬剤師をめざしたい

外来業務に力を入れれば地域と繋がらざるを得なくなり、自ずと活躍フィールドが広がるわけですね。
【中】外来業務の延長で多職種と繋がることにより、在宅医師だけではなく、地域の介護事業所のケアマネージャーや地域包括支援センターの職員から、在宅患者さんを紹介されることもあります。在宅業務を行うことで、サービス担当会議や退院時カンファレンスに呼んでいただけるようになりました。今では自立支援型地域ケア会議の助言者として指名されるようになりました。
これからも地域包括ケアシステムの中で、薬局薬剤師としてのニーズを常に意識しながら、地域の繋がりを大切にしていきたいと思います。そして、患者さんや家族、多職種から指名される薬剤師になり、地域医療を支えていきたいです。
最後に、このような地域での活動に参画できているのは、所属している管理薬剤師の先生はじめ、薬局のスタッフのサポート無くしてできません。深く感謝申し上げます。
ありがとうございました。

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