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第4回 貼付剤の構造


    監修:
    • 鈴鹿医療科学大学薬学部 病態・治療学分野 臨床薬理学研究室 教授 大井 一弥 先生

    貼付剤と皮膚

    皮膚という観点から、貼付剤や貼付剤と皮膚の関係などについて、読んで楽しく、役立つ情報を紹介します。

    テープ剤の構成

    テープ剤はその薄さにも関わらず複雑な構造を有し、皮膚への薬物の放出制御など製剤的な工夫が精巧に施されています。テープ剤の構成は、以下の2つに大別されます。

    マトリックス型製剤

    支持体、膏体(粘着剤+薬物)、ライナー(剥離紙)で構成され(図1)、ペンレステープ18mgはこれに該当します。
    非常にシンプルな構造で、膏体には皮膚への密着、薬物貯蔵、皮膚への薬物放出制御など多岐にわたる機能が要求されます。

    図1:マトリックス型製剤の構造
    記事/インライン画像
    図1 マトリックス型製剤の構造

    渡邉哲也:Drug Delivery System 22(4), 453, 2007より一部改変

    リザーバー型製剤

    ライナー、粘着層、放出制御膜、薬物貯蔵庫、パッキングで構成されています(図2)。皮膚への薬物透過が放出制御膜によってコントロールされているため、透過速度を長く一定に保つことができる製剤です。

    図2:放出制御膜を有した製剤の構造
    記事/インライン画像
    図2 放出制御膜を有した製剤の構造

    渡邉哲也:Drug Delivery System 22(4), 453, 2007

    粘着剤の種類と特徴

    テープ剤は皮膚に密着して経皮吸収されることで治療効果が得られるため、粘着剤の役割が非常に大きく、その選定が重要です。医療用テープ剤に使用される粘着剤は、アクリル系、ゴム系、シリコン系に大別されます。

    アクリル系

    光や酸素に安定で、かぶれを起こしにくいことから医療用粘着剤に適しています。化学的に合成されるため、薬物や添加物との溶解性・放出性など目的に応じた特性を持たせやすいという特徴があります。

    ゴム系(天然ゴム/合成ゴム)

    古くからテープ剤に用いられてきた粘着剤の一つです。天然ゴムは、優れた粘着力と適度な凝集力がありますが、耐老化性が悪く、軟化や粘着不良を起こすことがあります。一方、合成ゴムは耐老化性や電気特性に比較的優れており、品質も一定しています。また、親水性薬物はほとんど溶解せず、透湿性が非常に低いという特徴があります。

    シリコン系

    耐老化性、耐熱性、耐寒性、耐薬品性に優れ、電気特性や耐水性も良好です。必要に応じてシリコンオイルなどを添加し、粘着力を調整します。薬物の溶解性が低いため、薬物の放出性に優れています。

    医療用テープ剤の製造方法

    医療用テープ剤は、おおむね以下の4つの工程で製造されます(図3)。

    • 粘着剤+薬物を調合して膏体部分を作ります。
    • ①を支持体に塗布し、乾燥させ、ライナーを貼り合わせます。
    • ②を切断し、ライナーに切れ目を入れます。
    • テープ剤の大きさに切り抜き、包装・検査を行います。
    図3:医療用テープ剤の製作工程
    記事/インライン画像
    図3 医療用テープ剤の製作工程

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