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専門医に聞く!伝染性軟属腫(みずいぼ)治療のQ&A


監修:
  • 赤坂虎の門クリニック 皮膚科 日野 治子 先生
伝染性軟属腫は取らないといけないのですか?放置してはいけないのでしょうか。

伝染性軟属腫は放置しておいても自然消退しますが、それまでに6ヵ月~5年を要します。
また、軟属腫の摘除は痛みを伴うため、皮膚科医・小児科医の間でも意見が分かれるところですが、経過観察中に本人の他の部位への感染や他者への感染が懸念されます。中には搔破してアトピー性皮膚炎が悪化したり、二次感染による膿痂疹を生じる例もあることを勘案すると、軟属腫が少数のうちに摘除する方が望ましいといえます。
なお、患者の多くは幼小児であるため、治療方針の決定には保護者の意向が大きく影響します。保護者とよく相談し、患者の年齢や軟属腫の数、保育所・幼稚園や学校の対応などを総合的に判断したうえで治療方法を選択する必要があると考えます。

伝染性軟属腫の摘除は子どもが怖がり、通院をやめてしまうのではないでしょうか?

過去に伝染性軟属腫を摘除した経験がある患児の中には、摘除時の痛みを覚えていて受診を嫌がることがあります。しかし「痛いのはかわいそうだから……」と経過観察中、次第に軟属腫が増加し、全身に広がった例なども見受けられます。
軟属腫が少数のうちに局所麻酔剤(リドカインテープ)を貼付して処置すれば、ほとんど痛みなく摘除することができます。痛くないことがわかれば、ほとんどの患児は、再発または取り残した軟属腫の摘除も嫌がらなくなります。

伝染性軟属腫の痛くない摘除のコツを教えてください。

軟属腫の上に局所麻酔剤(リドカインテープ)を1時間ほど貼付してから処置を行うと、ほとんど痛みを感じることなく摘除することができます。
テープを使用する際は以下の点に注意しましょう。

  • テープは軟属腫の大きさに応じて切る。
    (ただし、小さ過ぎると1片あたりの有効成分の含有量が少なくなり、十分な効果が得られないことがある)
  • 軟属腫およびその周囲の皮膚に密着させて貼付する。
    (テープが浮いたり、ずれたりすると十分な効果が得られないことがある)
  • テープをはがしたら直ちに摘除を行う。
    (はがしてから時間が経つと効果が薄れる)
成人患者を診る際の注意点を教えてください。

伝染性軟属腫の感染が疑われる成人例は、まず皮膚障害や感染源との接触の有無を確認します。
それらの要因が該当しない場合は、HIV感染もしくはSTDが考えられます。
HIV感染者は易感染性によって軟属腫が多発することが知られており、成人で大きな軟属腫の多発が認められる症例はHIV感染を疑う必要があります。

アトピー性皮膚炎患者で特に注意すべき点はありますか?

伝染性軟属腫は湿疹病変や乾燥した皮膚に合併しやすいため、皮膚が乾燥し、角層のバリア機能が低下しているアトピー性皮膚炎患者は易感染性宿主といえます。
伝染性軟属腫に罹患した場合、自然消退する可能性もありますが、その周囲に軟属腫反応という乾燥性の湿疹病変が生じます。これが、アトピー性皮膚炎患者では瘙痒を生じる原因の一つになり、アトピー性皮膚炎の悪化因子になることがあります。よって、アトピー性皮膚炎患者が伝染性軟属腫を発症した際は、なるべく早期に治療することが重要です。

保育所・幼稚園や学校の出席停止、プールへの対応はどうすればよいでしょうか?

伝染性軟属腫は、学校保健安全法の学校感染症第三種「その他の感染症」に属するものとされており、関係4学会がその取扱いに関して統一見解※1を出しています。それによると、この疾患のために登園や登校を控える必要はなく、プールに入ることも禁止されていません。
ただし、うつる疾患であるため、周りの子どもたちへの配慮が必要です。特にプールでは、肌の接触によって感染の機会が増えるため注意が必要です。
感染拡大を防ぐために、プールではタオルや水着などを共用しないこと、また水着で覆われていない部位の軟属腫は撥水性のある絆創膏で覆うこと、生活上では衣類や寝具、遊具などを共用しないことなどの注意が必要です。
なお、関係2学会が、"プールに入ることや水泳授業への参加の是非"について新たに表明した見解※2では、「プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さい。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。」となっています。

  1. ※1学校感染症 第三種 その他の感染症 「皮膚の学校感染症に関する統一見解」
    平成22年7月 日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会・日本皮膚科学会・日本小児感染症学会
  2. ※2学校感染症 第三種 その他の感染症 「皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解」
    平成25年5月 日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会

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