メインコンテンツに移動

薬局経営者に聞く:本部長の半数以上が女性、今後、女性管理職を5割に(2/4)


女性のライフイベント支えられる企業に

2020年10月に代表取締役社長に就任されました。現在、どのような取り組みに注力されていますか。

【柄澤】弊社は創業者である中村勝の社長時代から、在宅医療に積極的に取り組んできました。ですから、現在でも引き続き力を入れています。在宅医療を確立していかなければ持続可能な地域は構築できないという考え方のもと、2021年に「在宅推進本部」を立ち上げました。弊社では既に、9割の薬局が在宅医療を行っていますが、その質の向上に取り組むことを目的に新設しました。言うまでもありませんが、2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になりますし、2040年には生産年齢人口が総人口の50%程度まで減少し、65歳以上が国民の半数に達する時代になります。そうした状況を踏まえ、国は地域包括ケアシステムの構築を目指していますから、薬局は在宅医療の受け皿になることで、社会的な責務を果たしていかなければならないと考えています。

在宅医療に限らず外来も同様なのですが、薬局に求められている質は時代と共に変化します。例えば、一昔前は、がん患者さんは大学病院前の薬局にしか来られませんでしたが、最近では、多くの薬局にも来られます。もちろん、立地によって患者さんの多寡はまちまちでしょうが、全ての薬局にがん患者さんがお見えになる時代になりました。従って、そうした時代の変化に合わせて、薬局の質を高めていく必要があります。それには、当然のことながら薬剤師の専門知識の向上が不可欠です。無論、それはがんに限った話ではありません。糖尿病や精神疾患など、あらゆる疾患について専門知識のブラッシュアップを薬剤師に促しています。

記事/インライン画像
在宅医療

もう一点、女性社長として取り組んでいることを挙げれば、女性従業員のライフイベントをしっかりと支えていこうと考えています。女性のライフイベントを支えていくには、男性も十分にサポートしていく必要がありますので、福利厚生制度等を見直しているところです。現行でも国の制度を上回っており、手厚くしているつもりですが、今後、更に変えていく必要があると思っています。私自身、子育てもしてきましたし、母親の看取りも経験しました。その際には会社のサポートがありましたし、上司からの応援等もあって乗り越えることができました。そうした自分の経験を強みと受け止め、社内で責任を果たしていきたいと考えています。

記事/インライン画像
クオール株式会社 代表取締役社長 柄澤 忍 氏

2016年4月、いわゆる「女性活躍推進法」が施行され、ちょうど同じ日に、かかりつけ薬剤師制度がスタートしました。「かかりつけ」であれば、患者さんの普段の健康状態を知っているので、よりきめ細やかに、より丁寧に、より親切に接していくことが可能になります。二つの制度が同時期にスタートしましたので、女性薬剤師に一層活躍してもらいたいと考え、当時社長だった中村敬に、「女性に活躍してもらうための会議体を設立したい」と相談しました。すると、「ぜひ、やってほしい」という返事を貰いましたので、この年の5月に「L.A.D.Y.S会議」を発足させました。女性従業員が、かかりつけ薬剤師等として従前以上に定着・活躍してもらい、女性の患者さんや地域の女性たちに、それまで以上に高いサービスを提供していくための勉強の場と位置付けました。立ち上げに当たり、私は中村に「女性管理職の比率を3割に高めたい」と言ったところ、中村は即座に「3割なんてすぐ実現できます。何年かかっても構わないので、5割を目指してください」と言ってくれました。ただ、残念ながら、この目標はまだ実現できていません。確かに、他社様と比べれば女性管理職の割合は高いとは思いますが、全管理職の半数までには至っておりません。しかしながら、本部長は半数以上が女性になりましたので、少しずつ結果が出ていると受け止めています。

もう一つ、「L.A.D.Y.S会議」の成果の一つが、育児をしているお母さま方をサポートする「子育て大学」です。育児について悩みを抱えているお母さま方の相談窓口になれるよう、各地で講演会や育児に関するイベントを開催しています。このように女性を応援してくれる会社だからこそ、子育てや介護をしながらも、私は社長になることができた。そうした会社の気持ちを今度は、私が社員に返していかなければならないと思っています。

お問い合わせ

お問い合わせの内容ごとに
専用の窓口を設けております。

各種お問い合わせ

Dermado デルマド 皮膚科学領域のお役立ち会員サイト

医学賞 マルホ研究賞 | Master of Dermatology(Maruho)

マルホLink

Web会員サービス

ページトップへ