アトピー性皮膚炎とは
監修:中原剛士先生
(九州大学大学院医学研究院 皮膚科学分野 教授)
アトピー性皮膚炎とは、良くなったり悪くなったりをくり返す、かゆみの
ある湿疹を主な症状とする皮膚の病気です。
症状・特徴
アトピー性皮膚炎とは、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多くみられる皮膚の炎症を伴う病気です。
主な症状は「湿疹」と「かゆみ」で、良くなったり悪くなったりを慢性的にくり返すのが特徴です。一般的に、6カ月以上(乳幼児では2カ月以上)続くと慢性と判断します。かくことで湿疹が悪くなる悪循環を生じます。また、かゆみがひどくて眠れないこともあります。
主な症状は「湿疹」と「かゆみ」で、良くなったり悪くなったりを慢性的にくり返すのが特徴です。一般的に、6カ月以上(乳幼児では2カ月以上)続くと慢性と判断します。かくことで湿疹が悪くなる悪循環を生じます。また、かゆみがひどくて眠れないこともあります。
【湿疹の特徴】
◯赤みがある
◯ジクジクしてひっかくと液体が出てくる
◯ささくれだって皮がむける
◯長引くとゴワゴワ硬くなって盛り上がる
◯左右対称にできることが多い
◯おでこ、目のまわり、口のまわり、
耳のまわり、首、わき、手足の関節の内側などに出やすい
耳のまわり、首、わき、手足の関節の内側などに出やすい
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皮膚の赤み
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ブツブツ
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掻破痕
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ゴワゴワ
EASI user guide Jan 2017 v3, Appendix 2: Eczema Area and Severity Index (EASI) –lesion severity atlas
(http://www.homeforeczema.org/
documents/easi-user-guide-jan-2017-v3.pdf, 2022年6月23日アクセス)
(http://www.homeforeczema.org/
documents/easi-user-guide-jan-2017-v3.pdf, 2022年6月23日アクセス)
原因
アトピー性皮膚炎の原因は最近の研究で、「皮膚バリア機能異常」と、免疫の異常によって起こる「アレルギー炎症」、「かゆみ」の3つの要素が互いに関連しながら発症することがわかってきました。そのため、治療も三位一体で考えていくことが重要となってきました。

皮膚バリア機能
皮膚は、表面の皮脂膜やその下の角質細胞、角質細胞間脂質などがバリアの役割を担っており、外からの異物の侵入や水分の蒸発による皮膚の乾燥を防いでいます。アトピー性皮膚炎では、これらの「皮膚のバリア機能」が弱まっているため、外からの異物が容易に皮膚の中まで入りこみやすい状態になっています。「皮膚のバリア機能」はもともとの体質もありますが、皮膚をひっかいたりこすったりといった物理的な刺激や、汗、石鹸、化粧品、紫外線などによっても低下します。
アトピー性皮膚炎では特に角質細胞間脂質が減ってしまい皮膚が乾燥します。
乾燥肌を放っておくと湿疹やかゆみがますます悪化します。
アトピー性皮膚炎では特に角質細胞間脂質が減ってしまい皮膚が乾燥します。
乾燥肌を放っておくと湿疹やかゆみがますます悪化します。

◯皮脂と皮脂膜
皮脂とは皮脂腺から分泌される脂(あぶら)のことで、汗などと混じりあって皮膚の表面をおおい(皮脂膜)、水分の蒸発を防ぐ。
◯角質細胞間脂質
表皮で作られ、角質細胞と角質細胞のすき間をうめている脂のことでセラミドもその一種。角質細胞同士をくっつける接着剤の役割とともに、水分をサンドイッチ状にはさみ込み逃がさないようにする。
◯天然保湿因子
角質層にある低分子のアミノ酸や塩類など。ナチュラル モイスチャーライジング ファクタ(NMF)ともいわれ、水分をつかまえて離さない性質がある。
皮脂とは皮脂腺から分泌される脂(あぶら)のことで、汗などと混じりあって皮膚の表面をおおい(皮脂膜)、水分の蒸発を防ぐ。
◯角質細胞間脂質
表皮で作られ、角質細胞と角質細胞のすき間をうめている脂のことでセラミドもその一種。角質細胞同士をくっつける接着剤の役割とともに、水分をサンドイッチ状にはさみ込み逃がさないようにする。
◯天然保湿因子
角質層にある低分子のアミノ酸や塩類など。ナチュラル モイスチャーライジング ファクタ(NMF)ともいわれ、水分をつかまえて離さない性質がある。
アレルギー炎症(免疫異常)
炎症は、有害な刺激を受けたときや体内に異物が侵入したとき、これを取り除こうと防御する免疫反応によって起こります。しかし、アトピー性皮膚炎では本来退治する必要のないものに対しても不必要に防御しようとして過剰に反応し、炎症が起きてしまいます。
アトピー性皮膚炎の患者さんには、アトピー素因があるといわれています。アトピー素因とは、ご家族や患者さんご自身が気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎にかかったことがある、または食物やダニなどに対してアレルギー反応を起こしやすい体質のことです。
アトピー性皮膚炎の患者さんには、アトピー素因があるといわれています。アトピー素因とは、ご家族や患者さんご自身が気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎にかかったことがある、または食物やダニなどに対してアレルギー反応を起こしやすい体質のことです。
かゆみ
アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が弱まっているため、外からの異物(刺激物質・アレルゲンなど)が皮膚の中まで入り込みやすくなっています。
皮膚の中まで侵入した異物は炎症をまねき、その結果、かゆみを引き起こします。かゆみのために皮膚をひっかくと、その部位の皮膚を傷つけて皮膚症状をさらに悪くさせたり、バリア機能をさらに弱めたりすることによって、かゆみが強まるという悪循環に陥ります。
この悪循環はイッチ・スクラッチ・サイクル(かゆみと搔破[そうは:皮膚をかくこと]の悪循環)と呼ばれ、アトピー性皮膚炎が長引き、悪化する原因となります。
かゆみの正体と皮膚の中まで侵入した異物は炎症をまねき、その結果、かゆみを引き起こします。かゆみのために皮膚をひっかくと、その部位の皮膚を傷つけて皮膚症状をさらに悪くさせたり、バリア機能をさらに弱めたりすることによって、かゆみが強まるという悪循環に陥ります。
この悪循環はイッチ・スクラッチ・サイクル(かゆみと搔破[そうは:皮膚をかくこと]の悪循環)と呼ばれ、アトピー性皮膚炎が長引き、悪化する原因となります。
かゆみ治療について
悪化させる原因の対策
唾液や汗、髪の毛が肌に触れる、衣類との摩擦などの刺激や、食物、ダニ、ほこり、花粉、ペットの毛などのアレルギーの原因物質や黄色ブドウ球菌などの細菌などがアトピー性皮膚炎を悪化させることがあるといわれています。
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