- 演者:
- 大阪医科大学皮膚科学教室 准教授 黒川 晃夫 先生
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黒川 晃夫 先生 抄録
漢方医学は、心身一如、即ち心と体が一体のものとしてとらえ、経験的に心身のバランスを整えていくバランスの医学である。漢方治療は、患者の心と体の偏りをとらえ、患者に最も適した処方を行う全人的医療といえる。
我々西洋医は、西洋薬で標準的治療を行い、漢方薬で補完することが多い。漢方薬を料理に例えると、「うま味」のようなものであろう。うま味は決して目立ちはしないが、料理の美味しさを引き出す大切な役割をしている。ところで、尋常性?瘡は、日本皮膚科学会の定める尋常性?瘡治療ガイドライン2017では、急性炎症期の炎症性皮疹や面皰などに対し、アダパレンや過酸化ベンゾイルが推奨度Aとされているのに対し、漢方薬はC1またはC2とされている。尋常性痤瘡は、色、深さ、大きさ、発生部位は様々であり、女性では、月経前に悪化するものも少なくない。これら多種多様な痤瘡に対し、西洋薬および漢方薬を併用することで、痤瘡への治療効果が高まる。それぞれの料理にあわせてうま味を変えなくてはならないのと同様に、痤瘡に対しても、それらにふさわしい漢方薬を処方することで、よりよい痤瘡治療を目指せることを提案したい。