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服薬指導に役立つ皮膚外用剤の基礎知識 No.1:【よくあるご質問】ワセリンを塗ると、日焼けがひどくなりませんか。


よくあるご質問

皮膚科の患者さんは軟膏を塗ると日焼けの心配をされる方がいますが、このような不安を解消することもアドヒアランスの向上には大切です。

Q.ワセリンを塗ると、日焼けがひどくなりませんか。

A.軟膏の基剤であるワセリンは紫外線を防ぐため1) 2) 、軟膏を塗ることで日焼けがひどくなることはありません。

解説

乾癬治療ではナローバンドUVB療法など「紫外線療法」が広く行われています。この紫外線療法は、併用される薬物療法の軟膏などが紫外線に影響を与えることがあります。2002年1)および2005年2)の報告により、乾癬治療に使用されている20%サリチル酸ワセリンが紫外線の防御能があることが明らかになっています。基剤に使用されているワセリンも防御能があることが示されました。MED※1やMPD※2の数字が大きいほど、防御能が高まります。

  • 2002年の報告は健康ボランティア35人を対象に、UVB照射前に白色ワセリンと20%サリチル酸ワセリンを背中に塗布して、MEDを検討したデータです(表1)。
  • 2005年の報告は健康ボランティア31人を対象に、UVA照射前に白色ワセリンと20%サリチル酸ワセリンを背中に塗布して、MPDを検討したデータです(表2)。
  • ※1 MED:Minimal erythema dose、紫外線を浴びて24時間後に皮膚が赤くなり炎症を起こす最小の紫外線量のこと。
    ※2 MPD:Minimal phototoxic dose、最小光毒照射量。
表1:健康ボランティアのMED (n=35)
MED (mJ/cm2)
平均値±標準偏差
UVB照射(塗布なし) 94.3±20.3
ワセリン薄塗り 110.3±26.3
ワセリン厚塗り 125.7±33.1
20%サリチル酸ワセリン薄塗り 129.7±30.8
20%サリチル酸ワセリン厚塗り 152.6±33.3

薄塗り=0.1cc/25cm2、厚塗り=0.3cc/25cm2を示す

表2:健康ボランティアのMPD (n=31)
MPD (J/cm2)
平均値±標準偏差
UVA照射(塗布なし) 2.26±1.30
ワセリン薄塗り 2.74±1.47
ワセリン厚塗り 2.95±1.50
20%サリチル酸ワセリン薄塗り 3.29±1.55
20%サリチル酸ワセリン厚塗り 3.61±1.70

薄塗り=0.1cc/25cm2、厚塗り=0.3cc/25cm2を示す

  1. Emel F,et al:Eur J Dermatol, 2002;12(2):154-156
  2. Birgin B,et al:Eur J Dermatol, 2005;15(3):156-158

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