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ガイドラインにおけるヘマンジオルシロップの位置づけ

「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」より、プロプラノロールの有効性と安全性に関するクリ二カルクエスチョンを抜粋してご紹介します。

CQ14:乳児血管腫に対してプロプラノロールは安全で有効か?

推奨文:
慎重な観察の下に投与されるのであれば、プロプラノロール内服療法は乳児血管腫に対し第1選択となる可能性のある薬剤である。

推奨の強さ 1(強い):行うことを強く推奨する。
エビデンス A(強い)

メタアナリシス

プロプラノロールの有効性と副作用に関して、介入研究である4報を使用してメタアナリシスを行った結果1‐4)、「腫瘍の縮小」に関してプロプラノロールはプラセボと比較して有意に腫瘍の縮小効果を有すること、ステロイドに比しても腫瘍の縮小傾向は示されたものの有意水準には達していないこと、が判明しました。「合併症」に関してはステロイドとの比較を行った結果、2つのRCT でステロイドと比し有意に有害事象が少ないことが判明しました。

これらから、プラセボに対する腫瘍の縮小効果、ステロイドに対する合併症の少なさに関しては有意差が存在し、また多くのエビデンスの質が高いと考えられる既存の観察研究のシステマティックレビューの結果と同等の結果であったため、本CQ については大きな傾向があると推測し、そのエビデンスレベルはAと判定されました。

小児患者におけるプロプラノロールの有害事象

プロプラノロール療法を行うにあたり、起こりうる副作用とその症状、また対処法を知っておく必要があります。また副作用の予防策や注意点、中断するべきタイミングがあるため、本人・家族に十分説明することが肝要です。

これまで報告されている有害事象は、睡眠障害、末梢のチアノーゼ、低血圧(症候性、無症候性)、徐脈(症候性、無症候性)、低血糖、呼吸障害、消化器障害、精神障害などです。治療中断に至るほど重篤な例は少ないですが、特に以下の点に注意するべきです5‐10)

  • 低血糖を起こすリスクがあるため、プロプラノロール投与前後に哺乳をする。また何らかの原因で哺乳できない、もしくは嘔吐している場合は休薬する。

  • 低血圧、徐脈などの循環器系の副作用を予測するため、治療前に既往歴、家族歴の聴取と診察、心電図検査が推奨される。これらの検査に異常を認めなくても、治療中に低血圧、徐脈などを認めることがあり、そのような場合は治療を中断し対応する。

  • プロプラノロールはβ2遮断作用によって気管支収縮を起こすため、気管支喘息患者には禁忌である。また気管支喘息の疑いがあると言われたことがある症例の使用にも注意する。

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<出典>
平成26‐28年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」班:血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017, 第2版, 2017年3月

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