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乳児血管腫の症状・理学的所見


    監修:
    • 地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長 馬場 直子 先生

    自覚症状・他覚症状

    乳児血管腫の症状は、通常は無自覚ですが、皮膚の乾燥に伴って瘙痒を認めたり、潰瘍を形成した場合には疼痛を認めたりすることがあります。また、潰瘍部の疼痛や腫瘤による圧迫のため、部位によっては機能障害があらわれることがあります(合併症 )。

    理学的所見

    生後まもなく顔面や頭、腕などの皮膚に毛細血管拡張性の紅斑をきたし、徐々に拡大していきます。

    欧米では「表在型(superficial type)」、「深在型(deep type)」、「混合型(mixed type)」といった臨床分類が一般的ですが、本邦では「局面型」「腫瘤型」「皮下型」とそれらの「混合型」という分類も頻用されています1)。腫瘤型ではいちごを半分にして皮膚に置いたような外観を呈します。

    【局面型】
    記事/インライン画像
    局面型
    • 血管拡張や発赤といった初期症状ののちに皮膚表面からわずかに隆起し、境界明瞭な鮮紅色斑となる
    • 熱感はわずかにあるが拍動は通常触知しない
    • 疼痛はないようだが、瘙痒感があり掻爬することがある
    • 退縮時期は他の2型と比べ早期であり、整容的な問題は比較的少ない

    写真提供:
    国家公務員共済組合連合会 斗南病院 血管腫・脈管奇形センター
    センター長 兼 形成外科長 佐々木 了 先生

    【腫瘤型】
    記事/インライン画像
    腫瘤型
    ▲生後6ヵ月のピーク時 ▲6歳時(しわ、たるみ、瘢痕が残る)
    • 血管拡張や発赤といった初期症状ののち早期に隆起し、弾性でやや硬く境界が比較的明瞭な一塊の腫瘤として触知される
    • 腫瘤の大きさには日内変動があり、熱感・拍動を触知する場合が多い
    • 擦過により容易に皮膚潰瘍化し、感染や出血が見られることがある
    • 退縮して腫瘤としては縮小しても赤色斑部がしわ状に萎縮した皮膚として残存することが多く、整容的な問題になりやすい

    写真提供:
    地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター
    皮膚科部長 馬場 直子 先生

    【皮下型】
    記事/インライン画像
    皮下型
    • 表面に皮膚病変がないため赤色斑や熱感を触知することはない(表面に局面型を一部合併することも多い)
    • 弾性でやや硬く境界が比較的明瞭な腫瘤として触知される
    • 退縮後に皮下の腫脹が遺残する場合がある

    写真提供:
    地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター
    皮膚科部長 馬場 直子 先生

    1. 渡邊 彰二ほか. 小児外科. 2006 ; 38 : 273-275

    出典:
    平成26‐28年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」班:血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017, 第2版, 2017年3月

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