- 演者:
- 長崎大学 皮膚病態学分野 教授 室田 浩之 先生
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室田 浩之 先生 抄録
痒みは皮表に接する危機から逃れるための感覚です。それに引続く掻破行動は皮表に付着する物質の排除に役立つのです。さらなる脅威への暴露に備えるため、掻破の刺激を受けた表皮はdanger signalを介して個体が危険に晒されていることを免疫系に伝達します。それに伴い、遊走してきたTh2細胞に由来するIL-31やIL-4は神経に直接作用し痒みを誘発するのです。さらに患者の背景には痒み過敏があり、温熱、発汗、衣類による摩擦などで痒みが悪化します。この痒み過敏のメカニズムにドライスキンや炎症に伴う起痒物質、神経の形態変化、皮膚内分泌機能異常などが関わります。プロトピック軟膏は抗炎症作用、肥満細胞脱顆粒抑制、バリア機能の回復などを通して痒みを抑制します。本講では痒みのメカニズムに関する最近の話題とプロトピック軟膏の鎮痒作用について解説いたします。