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帯状疱疹治療 Up-To-Date


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    帯状疱疹治療 Up-To-Date

    帯状疱疹治療 Up-To-Date
    ヘリカーゼ・プライマーゼ阻害薬の登場により、帯状疱疹治療はどう変わるか-

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    【日時】
    2017年11月19日(日)
    【会場】
    京王プラザホテル東京
    【主催】
    マルホ株式会社
    【ご出席】
    (五十音順、ご所属は座談会開催時)
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    浅田 秀夫先生

    浅田 秀夫 先生
    奈良県立医科大学 皮膚科学教室 教授

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    漆畑 修 先生

    漆畑 修 先生
    宇野皮膚科医院 院長 東邦大学 客員教授

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    白木 公康 先生

    白木 公康 先生
    富山大学大学院医学薬学研究部 ウイルス学 教授

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    山口 重樹 先生

    山口 重樹 先生
    獨協医科大学 麻酔科学講座 主任教授

    帯状疱疹治療の目標として、皮疹の治癒だけでなく帯状疱疹関連痛の治癒(帯状疱疹後神経痛への移行を抑止)、眼症状や顔面神経麻痺などの合併症の予防、治療薬による副作用発現の防止が挙げられる。高齢化に伴い帯状疱疹患者の増加が進む中、帯状疱疹治療において今、何ができるのか ― 基礎、臨床の立場から、それぞれの視点で討論いただいた。

    帯状疱疹治療が抱えてきた課題

    ■浅田

    帯状疱疹の疫学調査である宮崎スタディによると、帯状疱疹の発症率は調査を開始した1997年から2014年の間に43.5%も上昇しました1)。その理由として、帯状疱疹の好発年齢である50歳以上の人口が増加していることなどが挙げられます。また、2014年10月の小児に対する水痘ワクチン定期接種化によって、高齢者が水痘患者と接触する機会が減少し、水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus;VZV)に対する免疫のブースター効果を得られずに、帯状疱疹患者がさらに増加することも懸念されます。実際、アメリカでは1996年に水痘ワクチンが定期接種化されて以降、65歳超の帯状疱疹発症率はいずれの年代でも増加しています2)

    帯状疱疹治療の目標として次の3つが挙げられます。

    • 皮疹の治癒および帯状疱疹関連痛の残存を抑止
    • 眼症状、顔面神経麻痺などの合併症の予防
    • 薬剤性脳症や腎障害など、治療薬による副作用発現の防止

    ①、②に対してはできるだけ早期に抗ヘルペスウイルス薬による治療を開始し、十分量を投与すること、③に対しては腎排泄型の抗ヘルペスウイルス薬ではクレアチニンクリアランスに基づく投与量の調節が必要です。しかし、現状では帯状疱疹後神経痛(post-herpetic neuralgia;PHN)が残存する患者がいることや、腎機能の低下した高齢者で薬剤性の腎障害が懸念されるなど、課題が残されています。

    帯状疱疹関連痛の薬物療法

    ■ 山口

    帯状疱疹治療の課題の1つである帯状疱疹関連痛には、急性期における皮膚組織の炎症を伴った「侵害受容性疼痛」とその後に出現する「神経障害性疼痛」の2種類の痛みがあり(図1)、痛みの病態の変化に応じた鎮痛薬の選択が大切です。

    図1:帯状疱疹関連痛の臨床経過
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    帯状疱疹関連痛の臨床経過

    比嘉 和夫:治療 2008;90(7):2147-2149より改変

    侵害受容性疼痛には基本的にNSAIDs、アセトアミノフェンを使用し、痛みが強い場合はオピオイド鎮痛薬の選択を考慮します。若年者ではNSAIDsも使用しますが、高齢者など腎機能低下が懸念される患者では腎機能障害などの副作用回避を考え、アセトアミノフェンが推奨されます。また、基礎疾患のない成人でも治療が1カ月以上の長期に及ぶと予測される場合は、アセトアミノフェンもしくはCOX-2選択的阻害薬**を選択します。アセトアミノフェンは基礎疾患のない成人であれば1回1,000mg、高齢者では800mgを1日4回投与しています。NSAIDsやアセトアミノフェンを使用しても眠れないほどの痛みがある場合はオピオイド鎮痛薬の使用を考慮します。

    神経障害性疼痛が疑われた場合は、『神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン(改訂第2版)』3)で第一選択薬となっているプレガバリン、アミトリプチリン塩酸塩、第二選択薬となっているトラマドール塩酸塩†*の中から選択するのがよいと考えています。

    神経障害性疼痛は患者の訴えと痛みの性状から判断します。「針で刺されるような痛み」「電気が走るような痛み」「焼けるようなヒリヒリする痛み」など、電気や火をイメージさせる痛みを訴える場合は神経障害性疼痛が疑われます。また、「衣服が擦れたり、冷風に当たったりするだけで痛みが走る」といったアロディニアも神経障害性疼痛を示す症状であり注意が必要です。

    私は神経障害性疼痛の治療では、表1のように痛みの性質により薬剤を選択しています。

    表1:痛みの性状と薬剤の選択肢
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    痛みの性状と薬剤の選択肢
    監修:
    • 山口 重樹 先生

    トラマドール塩酸塩はμオピオイド受容体作動薬としての作用と抗うつ作用(SNRI)を併せ持ち、医療用麻薬に指定されていないオピオイド鎮痛薬[弱]に位置付けられます。トラマドール塩酸塩として100mgの徐放錠、25mgまたは50mgの口腔内崩壊錠、37.5mgにアセトアミノフェンを配合した錠剤(配合錠)の3種類の経口薬があります。侵害受容性疼痛治療の際にアセトアミノフェンが若干でも効果を示している場合は配合錠を、効果不十分の場合は口腔内崩壊錠などを、忍容性を考慮して少量から漸増するとよいでしょう。また、トラマドール塩酸塩の副作用には悪心、嘔吐、便秘があるため、制吐剤や下剤を併用します。PHN移行のリスク因子は表2の通りです。

    表2:帯状疱疹後神経痛(神経障害性疼痛)に移行しやすい因子
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    帯状疱疹後神経痛(神経障害性疼痛)に移行しやすい因子

    Higa K, et al. Pain 1997;69(3):245-253より作表

    ■ 浅田

    急性期痛の治療中でもアロディニアを疑うような兆候が見られた場合には、直ちに神経障害性疼痛の治療を開始すべきでしょうか。また、ペインクリニックへの紹介はどのようなタイミングで行うとよいでしょうか。

    ■ 山口

    初期にオピオイド鎮痛薬によりしっかりと痛みの治療を行い、悪化させないというのも1つの考え方です。急性期でも眠れないほどの痛みを訴えるなど神経障害性疼痛も合併していると考えられる場合、例えば、モルヒネ塩酸塩水和物から開始してフェンタニル経皮吸収型製剤に切り替えます。ペインクリニックへの紹介は重症例を中心に考慮していただければよいと思います。

    ■ 白木

    眠れないほどの痛みは侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛のどちらと考えるのでしょうか。その場合の治療はオピオイド鎮痛薬と神経ブロック療法のどちらが適しているでしょうか。

    ■ 山口

    侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛のどちらもありえます。オピオイド鎮痛薬の使用で一定の効果が得られますが、必要に応じて神経ブロック療法を実施します。

    ■ 漆畑

    当院でも痛くて眠れないと訴えて来院されることがありますが、その程度はさまざまです。長期にわたり痛みが残存する患者もいますが、痛みには必ず波があって、大きな波がだんだん小さくなるように、痛みもいきなりなくなるのではなく、徐々によくなるのだと話しています。

    ■ 山口

    おっしゃる通りだと思います。そして徐々に改善すると鎮痛薬を飲み忘れることがありますが、そこが鎮痛薬を減量・中止するタイミングです。疼痛治療において飲み忘れは服薬アドヒアランスの低下ではなく、鎮痛薬に頼る必要がなくなってきた証拠と考えています。

    ■ 浅田

    痛みに過敏になっている患者では、症状がよくなってきていることを理由に減薬しようとすると不安がられることがあります。そのような場合、症状がよくなっていることに一度納得して帰られても、次の診察時に痛みがまだ続いていると訴えられることがしばしばあります。

    ■ 山口

    認知行動療法の考え方では、痛みの再燃に対して不安を抱いている間は薬剤の中止が難しいと思います。無理に進めるのではなく、ゆっくりと患者の自立を促すことが大切です。

    ■ 漆畑

    神経障害性疼痛でプレガバリンやアミトリプチリン塩酸塩での治療を開始し、治療が困難であった場合にトラマドール塩酸塩を考慮していますが、切り替えと併用のどちらが適切でしょうか。

    ■ 山口

    トラマドール塩酸塩はアミトリプチリン塩酸塩との併用で抗コリン作用の増強による口渇や尿閉、プレガバリンとの併用でふらつきに関する副作用が顕著になることがありますので、効果が見られない薬剤は中止します。単剤で痛みを抑えきれず併用を必要とする場合は、併用によるトラブルを最小限に抑えるために、トラマドール塩酸塩を基本治療薬として増量し、用量が上限に達するか、副作用が出てしまうという状況で他剤を追加するとよいでしょう。

    ■ 漆畑

    他院で抗ヘルペスウイルス薬と鎮痛薬を7日分、再診の指示なく一度に処方された方が、薬を飲み切ったのに痛みがあると訴えて当院を受診されることがあります。このような場合はどのように対処するのがよいでしょうか。難渋されている先生方も多いと思います。

    ■ 山口

    これまで述べたような痛みの種類に応じた治療を行いますが、本来は初診の際に帯状疱疹を皮膚の疾患とだけで捉えず、少なくとも抗ヘルペスウイルス薬の服用を終えた時点で再診を促し痛みの状態も確認するよう、啓発が大切であると考えます。

    帯状疱疹関連痛の薬物療法は概してここまでお話しした内容になると思いますが、現実にはPHNへ移行してしまうケースもあります。PHNに移行させないためには、適切な疼痛治療薬の投与に加え、抗ヘルペスウイルス薬の早期投与と適正使用が大切です。しかし、抗ヘルペスウイルス薬治療では受診タイミングが遅くて投与開始が遅れたり、腎排泄型の薬剤のクレアチニンクリアランスに基づく用量調節が適切でなく十分量の投与ができなかったりするといった問題が残されています。

    • *: 一部承認外
    • **: 承認外
    • †: 非オピオイド鎮痛剤で治療困難な慢性疼痛における鎮痛
    • ‡: 非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛

    2017年9月、ヘリカーゼ・プライマーゼ阻害薬アメナメビルが登場

    ■ 白木

    PHNに移行させないためにも早期投与が重要な抗ヘルペスウイルス薬ですが、現在使用されている薬剤はすべてウイルスの増殖を抑制することで作用します。アシクロビル(活性体:アシクロビル3リン酸)やファムシクロビル(活性体:ペンシクロビル3リン酸)は核酸類似体であり、DNA複製時に核酸であるデオキシグアノシン3リン酸(dGTP)と競合拮抗して取り込まれることにより、複製を阻害します。アメナメビル(アメナリーフ錠200mg)は本邦で創製された新規作用機序の経口抗ヘルペスウイルス薬であり、2017年7月に製造販売承認、同年9月に発売されました。アメナメビルは非核酸類似体であり、ヘルペスウイルスDNA複製の初期段階で働くヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の活性を直接阻害することでDNA複製を阻害し、ウイルスの増殖を抑制します4)。この複合体は、ヘルペスウイルスがDNAを複製する際に働く酵素であり、二本鎖DNAの開裂およびRNAプライマーの合成に関わります。

    ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体は大腸菌からヒトまでDNA合成をする全ての生物に存在している酵素ですが、種特異性が高いことがわかっています。実際に、アメナメビルをヒト由来のウイルス非感染細胞に投与しても、毒性が低いことが確認されています(in vitro )4)。また、アメナメビルは単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus;HSV)、VZVに抗ウイルス活性を示しますが、同じヘルペスウイルス属であるヒトサイトメガロウイルスには作用しません(in vitro )5)

    アメナメビルの抗ウイルス活性は、アシクロビルなどの核酸類似体の抗ヘルペスウイルス薬と比べ、感染後のウイルス増殖の程度に影響されにくいという特徴を有しています。ヘルペスウイルスは宿主の核酸を利用して自身のDNAを複製しますが、通常、ウイルスが増殖する皮膚の細胞は、基底細胞を除いて細胞分裂が盛んではなく、DNA合成が必要ないため、RNA型の核酸が合成されています。そのため、ウイルスはリボヌクレオチド還元酵素により、RNA型の核酸をDNA型に変換し、自身のDNA複製に利用します。ウイルス感染初期の細胞ではDNA型の核酸は非常に少ないのですが、ウイルスの増殖が盛んになるにつれ、その数は増えていきます。理論的には1つのVZV複製に約24万個の核酸が必要です。アシクロビルは、DNA型の核酸のうち、dGTPと競合拮抗してDNA鎖に取り込まれる必要があり、ウイルス感染初期ではdGTPが少ないために効率よく取り込まれますが、ウイルスの増殖が盛んになると、競合するdGTPが増加して取り込まれにくくなると考えられます。しかし、アメナメビルは酵素を直接阻害するため、ウイルスの増殖の程度、つまり感染からの時間経過によらず、効率よく作用することができると考えられます。実際に、HSV感染後の時間経過と抗ウイルス活性の推移を見た細胞実験では、アシクロビルの抗ウイルス活性は時間の経過とともに低下するのに対し、ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体を阻害するアメナメビルの抗ウイルス活性には大きな変化は見られませんでした(in vitro )6)。さらに、1回の投与で1日中有効血中濃度を保てる点7)が利点と考えます。

    ■ 山口

    抗ヘルペスウイルス薬の投与の遅れはPHN移行のリスク因子と考えていましたが、アシクロビルなどと違い、アメナメビルは治療が遅れても効果が得られるため問題ないと考えてもよいのでしょうか。

    ■ 白木

    前駆痛の時点でVZVが増殖していますので、やはり皮疹発現後早期に抗ヘルペスウイルス薬を投与することが大切です。帯状疱疹の症状は患者自身の免疫力に影響されるため、薬剤の臨床的な有効性の違いを明確化するには免疫不全といった特殊な条件が必要かもしれません。

    ■ 漆畑

    アメナメビルの特徴を臨床的な視点から見ていきます。アメナメビルは1日1回2錠(400mg)を食後に投与することで帯状疱疹に効果を示す薬剤です。薬物動態にて有効血中濃度を約24時間維持することが示されています7)。また、アメナメビルの主要な排泄経路は糞便中であることが確認されています8)

    国内第Ⅲ相臨床試験における投与開始4日目までの新皮疹形成停止率(主要評価項目)は、アメナメビル400mg群で81.1%、バラシクロビル塩酸塩群で75.1%であり、アメナメビル400mg群のバラシクロビル塩酸塩群に対する非劣性が検証されました9)。また、アメナメビル400mg群、バラシクロビル塩酸塩群ともに新皮疹形成停止、治癒、疼痛消失までの日数(副次評価項目)の50%点はそれぞれ4日、11日、10日でした。

    私のクリニックでは9月7日の発売以降、約2カ月で20人を超える患者にアメナメビルを投与しました。経過観察中などの症例を除いて20人の情報をまとめてみましたが、皮疹出現後1日以内に投与できた症例は5例、2日以内は7例と半数以上が2日以内に投与できました。最近、インターネットなどで症状から疾患を検索できるためか、早期に受診する患者が増えている印象です。また、半数弱は65歳以上の患者でしたが、水痘ワクチン定期接種化の影響か、若い方も多くなっています。私は治療経過を見るため、アメナメビルを投与後、2~3日おきに再来院してもらっていますが、有効性の面では既存治療に劣らない印象です。また、安全性の面も慎重に確認していますが、投与後の臨床検査値の異常変動や臨床所見で異常が見られた方は現時点ではいませんでした。ただし、発売してまだ2カ月の新しい薬剤ですので、今後も注意して見ていきたいと思います。

    さて、抗ヘルペスウイルス薬は、帯状疱疹と診断した後すぐに投与すべきと考え、服薬に工夫をしています。アメナメビルは空腹時の服用では吸収性が低下するため、食後に服用する必要がある薬剤です。そこで、すぐに薬局に行ってもらい、手軽に摂取できる栄養補助食品などを摂取した上でアメナメビルをすぐに服用するよう指導しました。これにより、受診した時間を問わず早期から治療が開始できました。また、ヘルペスウイルスの増殖は昼をピークとする日内変動があると考えられていることから、翌日からはヘルペスウイルスが増殖する前、つまり朝に1回内服するように指導しています10、11)

    アメナメビルの1日1回投与という特徴は、服薬アドヒアランスの面でも治療効果の向上に寄与すると考えられます。最近は1日3回食事をしないケースも多く、1日複数回の服用が必要な場合、食事のタイミングと服薬のタイミングが合わずに、服薬アドヒアランスが悪い方もいるためです。

    もう1つのアメナメビルの特徴は主に糞便中に排泄され、クレアチニンクリアランスに基づく用量調節が不要なことです。従来の腎排泄型の抗ヘルペスウイルス薬はクレアチニンクリアランスに基づく用量調節が必要ですが、高齢者は腎機能が低下していることが多く、検査結果を待つ時間や副作用の説明の時間を要していました。この時間を短縮できることは医療者にとっても患者にとっても有用だと思います。

    ■ 浅田

    帯状疱疹は高齢者に多い疾患ですので、クレアチニンクリアランスに基づく用量調節を必要としない点は利便性が高いと思います。ただし、アメナメビルはCYP3Aで代謝され、CYP3Aおよび2B6を誘導しますので、併用薬には注意が必要です。リファンピシンは併用禁忌であり、併用注意薬も設定されています。他剤との併用については注意深く観察した方がよいと考えています。

    帯状疱疹治療はどう変わるか ― PHNへの移行を抑制することは可能か

    ■ 白木

    帯状疱疹ワクチンの臨床試験では帯状疱疹の発症リスクを約半分に、PHNは約3分の1に低下させると報告されています12)。PHNリスクの低下は、皮疹が軽症だったためか、免疫が増強されてウイルスがあまり増殖しなかったためか、理由は明確ではありません。アメナメビルは1回の服用で有効血中濃度が約1日保たれるため、ウイルス増殖を抑え、PHNの軽症化やリスク軽減につながればと思います。

    ■ 漆畑

    私もPHNへの移行の抑制についてアメナメビルを用いて検討してもらいたいと思います。それと同時に、初診医がもっと積極的に疼痛治療を理解して実施していくよう啓発すべきであるとも考えています。

    ■ 山口

    抗ウイルス治療の開始が遅れること、適切な疼痛治療の開始が遅れることはいずれもPHNへの移行の誘因となる可能性があり、これらは主治医の責任と考えます。これまでは腎機能が低下している患者に対し、抗ヘルペスウイルス薬の投与の遅れや、十分量を投与できていなかったケースもあったかと思いますが、アメナメビルは用量調節なしに十分量を投与できます。早期にウイルスの増殖を抑えることで、少しでもPHNに移行する患者が減ることを望みます。

    ■ 浅田

    冒頭で帯状疱疹治療に対する3つの目標を挙げました。アメナメビルはこれらの課題解決の一助となることが期待できる薬剤ですが、発売されて間もないので、有効性、安全性に関する今後のエビデンスの蓄積が必要です。アメナメビルのエビデンスが蓄積され、適正使用が推進されることで、帯状疱疹治療にさらなる進化が訪れることを期待します。

    1. 第7回HZ・S 研究会 外山 望 先生報告
    2. Hales CM, et al. Ann Intern Med 2013;159(11):739-745.
    3. 一般社団法人 日本ペインクリニック学会 神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン改訂版
      作成ワーキンググループ編:神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン(改訂第2版)2016;真興交易(株)医書出版部
    4. Chono K, et al. J Antimicrob Chemother 2010;65(8):1733-1741.
    5. マルホ株式会社社内資料 : in vitro 抗ウイルス活性
    6. Yajima M, et al. Antiviral Res 2017;139:95-101.
    7. Kusawake T, et al. Adv Ther 2017;34(12):2625-2637(承認時評価資料)
    8. マルホ株式会社社内資料 : ヒトマスバランス試験(15L-CL-007 試験)
    9. Kawashima M, et al. J Dermatol 2017;44(11):1219-1227(承認時評価資料)
    10. Matsuzawa T, et al. J Invest Dermatol 2018;138(1):233-236.
    11. Edgar RS, et al. Proc Natl Acad Sci U S A 2016;113(36):10085-10090.
    12. Oxman MN, et al. N Engl J Med 2005;352(22):2271-2284.

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