昭和万葉俳句前書集
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広東省北方警備中、転進下命南昌に向け夜行軍。南昌北方約五里の部落で終戦を知る。作戦中各人には常時自決用として手榴弾一個が渡されていた。終戦時何人かの将校が自決した。自分は一人息子(三歳)の写真だけは肌身離さず持っていた。らず、黄梅県下に蠢動する敵を掃討すべく、十五、十六日、九江対岸小池口に集結完了。大隊長指導のもと作戦会議中、終戦情報あり作戦中止。長江を隔て廬山の山容夜目に浮かぶ。終わったという安堵感とは裏腹に、復員できるのだろうかという不安と、永い間飼っていた愛大との別れがつらかった。見当たらず、翻訳に苦心惨たん。暗号書は直ちに焼却。火の粉まで追った。しかし、撤退は困難を極む。栄養失調で死ぬ者多し。悲しいことです。就いていた。毎日のように来襲していた敵機が、今日は途中から引き返すのを見る。望楼から降り二番作りの西瓜を収穫し、同僚と喉の渇きをいやす。軍規説く隊長吃る終戦日夜の静寂星流れ落つ敵の陣叱りても従きくる犬よ油照り撤収の列は進まず秋日落つ炎庭に男の子となりし兵ら立つ 昭和二十年八月十五日の所在地、マレー東海岸クアンタン。マレー駐在第二練習飛行隊第一 昭和二十年八月十五日当日は、海南島海国市外秀英にあった海軍無線送信所警備の任務に 支那派遣、第十一軍の暗号班員として桂林郊外に駐軍。当日暗号書に天皇の終戦のお言葉が 広州市でラジオロケーターの業務に従事していたが、ラジオで終戦の御詔勅を聴き、戦争が 中支湖北省黄梅県各地に駐屯、警備に任ず。独立歩兵大隊中隊長。八月十五日の.終戦を知

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