マルホレポート2022
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戦略の柱1グローバル市場を見据えたプロダクト創出10「ミゼレーゼⅡ 祈り/中村晋也」(京都R&Dセンター 医薬開発研究所)エントランスに佇むブロンズ像。背景のステンドグラスには15の芽が施されています。新薬を開発するごとにモクレンの花を咲かせ、銘板に製品名が記されます。 私たちは創薬ベンチャーやグローバル大手企業等と積極的に協業し、全社一丸となってパイプラインを強化しています。また適応拡大など承認取得後の製品価値向上につながる活動へのリソース強化により、競争力のある研究開発を推進しています。2022年9月期は製品の承認取得・上市、そして後期開発パイプライン強化という観点で、大きな成果がありました。原発性腋窩多汗症の治療薬「ラピフォートワイプ」、アトピー性皮膚炎のかゆみを対象とした世界初の抗体医薬品「ミチーガ皮下注用シリンジ」を発売、さらに「ロゼックスゲル」の酒さに対する効能を追加しました。いずれもマルホのビジネス拡大に寄与するだけでなく、アンメットニーズを解決するための切り札になるものと期待しています。 かゆみは目に見えないために、皮膚症状に比べると見過ごされてきたアンメットニーズですが、「ミチーガ皮下注用シリンジ」を使用された患者さんだけでなく、処方された医療関係者の方からも、多くの感謝の言葉が寄せられました。ミッション「あなたといういのちに、もっと笑顔を。」を具現化した画期的な治療薬と自負しています。 ライセンス活動の成果については、Incyte Corporation(アメリカ)から「ルキソリチニブクリーム」の日本国内における開発権、製造権および独占的販売権を取得しました。本剤はアメリカにおいてアトピー性皮膚炎の治療薬として販売されており、2022年7月には尋常性白斑の適応での承認を取得しました。尋常性白斑は日本国内でも100万人近くの方が罹患している一方、有効な治療薬がいまだ存在していない治癒困難な疾患です。「ルキソリチニブクリーム」の尋常性白斑を適応とした開発は、皮膚科学領域のスペシャリティファーマであるマルホならではの取り組みとなるでしょう。 皮膚疾患の治療においては、近年ようやく抗体医薬品が登場し、治療の選択肢が拡大してきましたが、さまざまな会社が治療薬を投入している皮膚疾患は、いまだ乾癬とアトピー性皮膚炎が大半です。QOLを大きく低下させるにもかかわらず、「たいしたことない」「我慢して」と真剣にとらえられていない皮膚疾患は、まだまだ存在しています。マルホはこうしたアンメットニーズに応え、さまざまな皮膚疾患に悩む患者さんのQOL向上に貢献するため、新たな治療法・治療薬の開発に積極的に取り組んでいます。

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