


成人の皮膚は、平均的な厚さはわずか0.2ミリメートルながら、その面積は約1.6平方メートルと大きく、その重さは約3キログラム近くにもおよび、組織として解釈すると、肝臓や脳を抜いて、人体最大の臓器ともなります。
しかし一方で、アトピーやにきびなどの皮膚疾患というと、「生死を揺るがすものではない」という理由から軽視されがちです。皮膚疾患は、慢性的な痒みや痛みに加え、人から見られて恥ずかしいなどの精神的な苦痛を伴うケースが多く、さらに、治療が長期にわたったり、突然ぶり返したりすることも多いため、患者さんは治療の見通しへの不安から大きなストレスを感じ、そのストレスによって、さらなる症状の悪化を招く場合もあります。
最近の医療では、単に病気やケガを治すだけではなく、生活の質(QOL:Quality Of Life)を高めることが重要視されてきており、さまざまな病気の中でも特に皮膚疾患は、精神的、社会的なQOLの低下が大きい疾患であることが認められています。そのため、アトピーやにきびなどの皮膚疾患も、「より早く」、「よりキレイに」治すために専門的な治療を受けたいというニーズが高まっているのです。
マルホは、その人の日常生活を大きく左右する「皮膚」のスペシャリストとして、革新的な治療を提供することによって、世界中の患者さんに笑顔を届けたいと思っています。
これから、日本を含む先進国では、高齢化という避けられない重大な問題に直面することになります。寝たきりの高齢者は、ベッドの上から動かない状態が続くと、皮膚の圧迫や栄養不良などの原因から褥瘡(じょくそう:床ずれ)を発症しやすくなります。また、近年の核家族化により増えている、ひとり暮らしの高齢者では、家族による細やかなケアを受けられないことから、さらに褥瘡が発生しやすい状況にあります。褥瘡は、ちょっとした原因からできてしまう疾患ですが、ひとたび発症してしまうと、その悪化サイクルからなかなか抜け出せず、本人だけでなく、介護にあたる家族まで苦しめる、とても難しい疾患です。このような背景から、最近では高齢者の在宅医療・往診において、専門的な皮膚治療のニーズが高まってきているのです。
実際に、日本臨床皮膚科医会在宅医療委員会の調べによると、在宅療養者のうち約7割が何らかの皮膚疾患を有していて、専門的な皮膚治療が行われていない患者さんも多いということです。(下図) もちろん、褥瘡だけでなく、おむつによる皮膚炎や白癬(水虫)など、高齢者が抱える皮膚の悩みはまだまだあります。これからの高齢化社会において皮膚疾患は、避けては通れない大きな課題になるといえます。
マルホは、皮膚科だけでなく、在宅医療に携わるさまざまな診療科の医師や看護師の方々に対し、専門性の高い情報提供を行い、医療者どうしのネットワーク構築のお手伝いをするなど、マルホだからできる貢献を最大限に発揮していきたいと考えています。


世界の皮膚科医療用医薬品の市場は、約3兆円と、日本の約10倍に相当すると言われています。直接生死に関わることがない、軽微な皮膚疾患への治療は、生活水準の高い先進国では一般化しているものの、発展途上の多くの国々では、まだまだ浸透しておらず、市場が拡大する余地を残しています。先進国である日本の皮膚科医療用医薬品市場において、マルホは国内最大のシェアを持ち、海外での販売活動を始めていない現在でも、世界の皮膚科医薬品企業ランキングですでにトップ10に数えられています。今後、途上国の発展に伴って、ますます多様化する皮膚疾患の治療ニーズに対し、マルホが率先して、新たな提案を行い、世界の皮膚科市場を活性化していくことが使命であると考えています。
皮膚科領域は、これまで大手の製薬メーカーが参入してこなかったからこそ、やり残した仕事が多く残されています。だからこそ、マルホにできることは大きく、活躍できるフィールドがたくさん存在しています。
これからは日本をはじめ、世界各国の皮膚科治療を率先して発展させられるような存在になりたいと考えています。
QOLについて
『QOL(Quality Of Life)』とは、“生活の質”や“生命の質”“人生の質”などとも訳され、主観的・客観的にもまた身体面・精神面・社会面からも人間のよりよい状態のことを意味しています。医療におけるQOLの最終目標は、患者さんの生命と質の維持と向上にあります。この概念は、WHO が1946 年に提唱した「健康の定義」を発展させた考え方であり、健康を考える上では外すことのできない重要な概念であるといえます。