アメナリーフの開発の経緯
アメナリーフは、本邦で創製された非核酸類似体のアメナメビルを有効成分とする、抗ヘルペスウイルス薬です。
アメナメビルは、ヘルペスウイルスDNAの複製に必須の酵素であるヘリカーゼ・プライマーゼ複合体※の活性を阻害することで、二本鎖DNAの開裂及びRNAプライマーの合成を抑制し、抗ウイルス作用を示します1)。一方、これまで本邦で承認された経口抗ヘルペスウイルス薬はすべて核酸類似体であり、デオキシグアノシン三リン酸と競合的に拮抗してウイルスDNAの複製を阻害することで抗ウイルス作用を示します。このように、アメナメビルは、既存の経口抗ヘルペスウイルス薬と作用機序が異なり、核酸類似体であるアシクロビルと交差耐性を示しません1)。
アメナメビルは、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)及び単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)に対して高い抗ウイルス活性を有することが確認されており(in vitro )1)、国内外で帯状疱疹、単純疱疹及び再発性の単純疱疹を対象疾患とした開発が進められました。
本邦で実施した帯状疱疹患者を対象とした臨床試験の結果、1日1回400mg食後投与での有効性及び安全性が確認されたことから、2017年7月に「帯状疱疹」の適応症で製造販売承認を取得しました。
その後、本邦において再発性の口唇ヘルペス患者及び性器ヘルペス患者を対象とした臨床試験を実施した結果、再発性の単純疱疹に対する1200mg食後単回投与の有効性及び安全性が確認されたことから、2023年2月に「再発性の単純疱疹」に対する効能・効果および用法・用量が追加承認されました。
※DNAヘリカーゼ、DNAプライマーゼ及びDNA依存的ATPaseの活性を有する酵素複合体
- Chono, K., et al.:J Antimicrob Chemother, 65(8), 1733(2010)